疑惑の救急車
高規格救急車をめぐる町長の不可解な対応で揺れる福島県国見町。一連の問題を報じてきた河北新報が住民説明会の動画を公開しました。タイトルはずばり<疑惑の救急車>。個人的にはあまり感心できない手法ですが、動画にはワンテーブル社長の「例の音声」まで挿入されています。疑念を追求するには効果的ですが、もし我々テレビ屋が同じことをやれば「印象操作だ」と批判されそうです。まあ、それはさておき…
町民の質問に対し引地町長は
町民約110人が参加し質疑応答など3時間にも及んだという4月20日の説明会。動画からは町民の皆さんがこの問題にかなり疑問を持っている様子がうかがえました。詳しい内容は直接観ていただくとして、引地町長の発言から気になった部分をメモしておきます。
●町民「高規格救急車の仕様書作成にワンテーブルは関与していないのか?」
●引地町長「町側がこの仕様書を作成しております。仕様書の作成について直接的にワンテーブルは関与しておりません」
●町民「3カ月間で12台の救急車を新たに開発・製造できるのか?」
●引地町長「実際にその契約期間の中でできるという企業があったということ。今回提案したのはワンテーブルだが、可能だからその事業に手を挙げたのだと思っております」
●町民「1社しか受けられない仕様書を作ったのであれば官製談合ということでは?」
●引地町長「ご納得いただけないのであれば我々に責任があるのかなと思っております。行政、議会が関与しない第三者委員会に調べていただきます」
説明するほど増える「疑問」
これを不自然な回答と感じるのは私だけでしょうか。仕様書に対するワンテーブルの関与については<直接的>な関与は否定したものの、では<間接的>な関与はどうなのかが気になります。全く関与していないなら、なぜあのような仕様書になったのか、その説明が必要です。
救急車の納期の短さについては「可能だから手を挙げたのだろう」と、他人事のような言い方が気になります。世界情勢によって部品が不足し、新車の納期が遅れているというニュースがあったのはちょうどこのころ。町長は納期に不安を感じなかったのでしょうか?
「官製談合では?」との質問に至っては(あくまでも動画でわかる限りですが)ほぼゼロ回答なのが気になります。町長が具体的にどういう経緯であの仕様書になったのかを説明すれば済む話なのに、それをしないまま「納得いただけないなら我々の責任」とは、まるで逆切れです。
町議会は「百条委」を設置すべき
今後、引地町長は「行政、議会が関与しない第三者委員会」に調査を委ねたいようですが、そもそも執行機関を監視するのは議会の仕事です。繰り返しになりますが国見町議会は「出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる」百条委員会を立ち上げるべきと私は思います。