もぞらもぞら

東北のもぞもぞする話題を考察

「値上げしたら儲かりすぎ!復配しまーす!!」→株主「ごっつぁんです!」

(東北電力のプレスリリースより)

値上げで過去最高益&配当復活

東北電力は2024年3月期の連結最終損益が、前年度の1275億円の赤字から過去最高となる1400億円の黒字にV字回復する見通しだと発表しました。しかも前年度0円(無配)だった配当を年間15円に復配(予想)。…これ、おかしくないですか。東北電力「あれ?値上げしたら儲かりすぎちゃったぞ!だったら復配しまーす!!」→株主「ごっつぁんです!」…って、ありですか?

渋々受け入れた値上げ…なのに

東北電力は去年11月、ロシアによるウクライナ侵攻の影響などでコストが増加しているとして高圧以上の企業向け電気料金を引き上げています。また家庭向け電気料金を値上げする際には仙台市内で公聴会を開き、消費者から「納得できない」などの厳しい意見を受けながらも今年6月、国の認可どおり料金の値上げに踏み切りました。

 

4月に前年度決算を発表した時点では「まだ規制料金値上げの審査が継続していることなどから合理的な算定が困難」として今年度通期の業績と配当予想を未定としました。燃料費調整額のタイムラグもあるのでしょうが、もしこの時点で改定後料金での試算結果がわかっていたなら、消費者はおとなしく値上げを受け入れていたでしょうか。

 

東北電力の樋口社長は会見で「財務状況が悪化しており、危機的状況は続いている」と話したそうです。実際そうなのでしょうし、私も今回の値上げについては仕方がないと思いました。ただその結果「大幅な黒字になりそうだから配当を復活させます」と言われたら、消費者は「なぜ値下げに使わないんだ」と反感を覚えませんか。

「旧一電」の矜持はどこへ

会社は株主のものだという理屈はあります。しかし旧一般電気事業者は公益性が高く、国からも特別扱いを受けて現在に至りました。一般的な株式会社とはそもそもの成り立ちが異なります。消費者が負担を強いられる値上げ分が余剰利益を生み出し、最終的に株主に還元されてしまうのでは、企業の信頼性を毀損することにつながります。

大人の事情がマスコミを黙らせる?

料金値上げの話が出た際、「生活が苦しくなる」として市民の声を取り上げていたテレビや新聞は、今回の黒字転換見通しと配当復活について淡々と発表内容のみを伝えています。たとえその裏にCMや広告出稿、あるいは資本関係など大人の事情があるにせよ、消費者側に立つべきマスコミがこれにほっかむりするようでは悲しくなります。