もぞらもぞら

東北のもぞもぞする話題を考察

救急車を買ってよそにプレゼントする地域創生事業

(23/04/08 河北新報から引用)

「救急車開発・リース事業」頓挫

人口わずか8000人の町に浮かび上がった、12台もの高規格救急車の開発・貸出構想。 事業の推進役だった福島県国見町の引地真町長は、完成した救急車を県内外に貸し出すことで国見町の名前を広めたいとしていましたが、町はこのほど事業断念を決定。そのうえで完成した12台の救急車すべてを町が買い取ることを町議会に諮り、4月7日の臨時会で可決されました。今後は、希望する自治体や消防組合などに救急車を寄贈するということで、きのう(8日)河北新報福島民友などが報じました。

断念だけでは収拾できない異常事態

もともとはこの事業、備蓄用ゼリーの製造などを手掛けるワンテーブル(宮城県多賀城市)がプロポーザル方式で町に提案し受託したもの。先ごろ「青い救急車」を発表し話題となったDMM.comの子会社ベルリング(東京都)が開発を受注し、町は企業版ふるさと納税で寄付された4億円あまりを原資に共同開発に関わるとしていました。

 

ところが、発注側の町が事業者選定に使う「仕様書」の作成に受注側のワンテーブルを関与させていたことや、ワンテーブルの島田昌幸社長の不適切な発言などが河北新報によって明かされると事態は一変。町はワンテーブルとの関係を解消し、救急車の開発業務の変更と22年度内の完了を決めました。

 

こうした流れの中で可決された今回の議案。国見町としてはこれをもって事態の収拾を図りたいところでしょうが、果たしてそううまくいくのでしょうか。

国見町の目指す「地域創生事業」

報道によれば救急車を買い取る財源には、開発・貸出事業に使うはずだった企業版ふるさと納税による寄付金約4億3200万円を充てるそうで、中古2台を含む12台の救急車の買取費用に約4億1700万円、車両保管費用に約1500万円が使われる見込みとなっています。

 

あいにく私は生半可な知識しかないので間違っているかもしれませんが、企業版ふるさと納税の寄付金は、自治体が勝手に使い道を変えることはできなかったような気がします。 企業版ふるさと納税は「地方創生応援税制」といって、企業が寄付できる対象は国の認定を受けた各自治体の「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」でなくてはなりません。

 

もちろん国見町が「民間から救急車12台を買い取って、希望する自治体や消防組合に無料でプレゼントする事業」として国の認定を受けていれば問題ないのですが、内閣府が公開している企業版ふるさと納税対象事業一覧の「国見町まち・ひと・しごと創生総合戦略」には、そうした計画は含まれていないように見えます。

 

となると、この事業に「匿名」で大金を寄付した企業側に税負担の軽減といったメリットは生じるのでしょうか。そもそも、救急車12台をよそにプレゼントすることが国見町の「まち・ひと・しごと創生」にどうつながるのでしょう。

官製談合を疑わせる町長の言動

何より一番の問題は、仕様書の作成に町が受注側を関与させたという疑いが残ることです。これは場合によっては官製談合になり得る行為だからです。町としてはワンテーブルや島田社長に責任を押し付けたいのかもしれませんが、これまでの町長の言動などを振り返るとそうも言い切れないように思われます。

 

町は4月15日から、別件の「くにみ学園構想」も含め一連の問題について住民説明会を開くそうですが、誰もが納得するような説明ができるのかが注目されます。